ポリラミ紙とは、紙の片面または両面にポリエチレン(PE)を積層した加工紙のことである。
一般的には、クラフト紙にポリエチレンを押出ラミネート法によって積層し、紙の弱点である耐水性や防湿性を高めたものである。
ポリラミネート紙、PEラミネート紙とも呼ばれ、特にクラフト紙を使用したものは、クラフトラミ紙、PEクラフト紙とも呼ばれる。
紙は強度や剛性、印刷適性などの特長を持つ一方、水分を吸収しやすく、吸湿・脱湿によって寸法が変化する性質がある。一方、ポリエチレンは耐水性や防湿性、柔軟性に優れた樹脂である。
これらを組み合わせることで、紙の特長を活かしながら、紙だけでは得られない機能を付与することができる。
ポリラミ紙は、包装紙、紙袋、防湿包装材などに広く利用されているほか、剥離紙の基材としても重要な役割を担っている。
■ ポリラミ紙の構造と製造方法
◆ ポリラミ紙の基本構造
ポリラミ紙は、原紙とポリエチレン層から構成される。
原紙にはクラフト紙が広く用いられるが、用途に応じて上質紙など、さまざまな種類の紙が使用される。
ポリエチレン層の厚みは用途によって異なるが、一般的には十数~数十μm程度である。
原紙の種類や坪量、ポリエチレンの種類や厚みによって、強度、剛性、防湿性、柔軟性などの特性が変化する。
◆ 押出ラミネート法
ポリラミ紙は、主に押出ラミネート法によって製造される。
押出ラミネート法とは、加熱溶融したポリエチレンをTダイと呼ばれる金型から薄い膜状に押し出し、連続して走行する原紙の表面に積層する加工方法である。
押し出されたポリエチレンは、原紙とともにニップロールで圧着され、冷却ロールによって冷却・固化される。このようにして、原紙の表面に薄いポリエチレン層が形成される。
この工程では、ポリエチレンの溶融状態、原紙との密着性、樹脂厚みの均一性などが重要となる。また、ポリエチレン表面の平滑性や光沢は、冷却ロールの表面状態などによって調整することができる。
◆ 片面ポリラミ紙と両面ポリラミ紙
ポリラミ紙には、ポリエチレンを積層する面によって、次の2種類がある。
- 片面ポリラミ紙
原紙の片面にポリエチレンを積層したものである。ポリエチレン面に耐水性や防湿性などの機能を持たせながら、反対面には紙本来の性質を残すことができる。
一般的な包装用途や、片面剥離紙の基材などに利用される。
- 両面ポリラミ紙
原紙の両面にポリエチレンを積層したものである。両面にポリエチレン層を設けることで、原紙への水分の出入りを抑制し、吸湿・脱湿による寸法変化やカールを軽減できる。
また、両面を剥離処理する剥離紙の基材としても利用される。ただし、両面にポリエチレンを積層していても、原紙の端面からの吸湿などを完全に防げるわけではない。
■ ポリラミ紙の主な特長
◆ 耐水性・防湿性
紙は植物由来のセルロース繊維を主成分としており、水分を吸収しやすい性質を持つ。
紙が吸湿すると繊維が膨張し、脱湿すると収縮するため、寸法変化やカール、波打ちなどが発生することがある。
一方、ポリエチレンは水との親和性が低く、水を吸収しにくい材料である。
紙の表面に連続したポリエチレン層を形成することで、水の浸透を抑えるとともに、水蒸気が透過する速度を低下させることができる。これにより、紙の耐水性や防湿性が向上する。
ただし、ポリエチレンにも一定の水蒸気透過性があるため、完全な水蒸気遮断層ではない。
また、片面ポリラミ紙では未加工の紙面から水分が吸収されるほか、両面ポリラミ紙でも端面からの吸湿が起こり得る。
したがって、ポリラミ紙の防湿性能は、ポリエチレン層の厚みや均一性、原紙の種類、使用環境などによって左右される。
◆ ヒートシール性
ポリエチレンは熱可塑性樹脂であり、加熱によって軟化・溶融し、冷却によって再び固化する性質を持つ。
この性質を利用し、ポリエチレン面同士を加熱・圧着することで接着することができる。この加工をヒートシールという。
接着剤を使用せずに袋の開口部などを封止できるため、ポリラミ紙は紙袋や包装材などの製造にも利用される。
ただし、必要なシール温度や接着強度は、ポリエチレンの種類や厚み、加工条件などによって異なる。
◆ 平滑性と目止め効果
紙の表面には、パルプ繊維による凹凸や微細な空隙が存在する。
紙の表面に液体を直接コーティングすると、その一部が繊維間の空隙に浸透し、均一な塗工層を形成しにくい場合がある。
ポリエチレンを積層することで、紙表面の凹凸や空隙を覆い、比較的平滑で均一な樹脂表面を形成することができる。
また、ポリエチレン層が液体の浸透を妨げることで、コーティング液が紙の内部に浸み込むのを抑制できる。この機能を目止め効果という。
目止め効果は、特に薄い塗工層を均一に形成する必要がある剥離紙の製造において重要となる。
◆ カールの抑制
紙は周囲の湿度に応じて吸湿・脱湿を繰り返し、その際に膨張・収縮する。
片面ポリラミ紙では、ポリエチレン面と紙面とで水分の出入りが異なるため、湿度変化によってカールが発生しやすい場合がある。
一方、両面にポリエチレン層を設けることで、原紙への水分の出入りを抑制し、カールの発生を軽減することができる。
ただし、カールには原紙の性質や加工時の熱履歴、ポリエチレン層の厚み、残留応力なども関係するため、両面ポリラミ紙であってもカールが完全になくなるわけではない。
■ 剥離紙におけるポリラミ紙の役割
◆ 剥離紙の目止層としての役割
ポリラミ紙は、シリコーン系剥離紙の基材として広く使用されている。
剥離紙は、原紙の表面にシリコーンなどの剥離剤をコーティングすることで、粘着剤などに対する剥離性能を付与した材料である。
しかし、紙に剥離剤を直接塗工すると、剥離剤が紙の内部へ浸透してしまう場合がある。
特に、剥離剤の塗工量は非常に少ないため、紙への浸透が起こると、表面に必要な量の剥離剤を均一に保持することが難しくなる。
そこで、原紙と剥離剤層の間にポリエチレン目止層を設ける。
ポリエチレン層には、次のような役割がある。
- 剥離剤の原紙への浸透を防ぐ。
- 剥離剤を表面に均一に保持しやすくする。
- 平滑な塗工面を形成する。
- 剥離剤の使用量を抑えながら、安定した剥離性能を得やすくする。
剥離紙におけるポリエチレン層は、単なる防水・防湿層ではなく、剥離性能を安定させるための重要な機能層である。
◆ 剥離紙の層構成
ポリラミ紙を使用した代表的な剥離紙には、次のような構成がある。

- 片面剥離紙(SLタイプ)
剥離剤層/PE目止層/原紙
原紙の片面にポリエチレンを積層し、その表面に剥離剤をコーティングしたものである。
- 背面ラミ付き片面剥離紙(SLKタイプ)
剥離剤層/PE目止層/原紙/PE防湿層
片面剥離紙の背面にもポリエチレンを積層したものである。背面のポリエチレン層は、主として原紙への水分の出入りを抑制し、カールを軽減する目的で設けられる。
- 両面剥離紙(SLBタイプ)
剥離剤層/PE目止層/原紙/PE目止層/剥離剤層
原紙の両面にポリエチレンを積層し、さらに両面に剥離剤をコーティングしたものである。
両面テープなどに用いられ、表裏の剥離強度に適切な差を設けるなど、用途に応じた設計が行われる。
なお、両面ポリラミ紙であっても、両面に剥離剤が塗工されているとは限らない。また、剥離紙にはクレーコート紙やグラシン紙など、ポリエチレン目止層を使用しないものもある。
◆ 剥離剤とポリエチレン表面の密着性
剥離紙では、剥離剤がポリエチレン表面に均一に塗工されるだけでなく、その表面に十分に密着していることも重要である。
ポリエチレンは非極性の樹脂であり、一般に表面エネルギーが低いため、そのままでは塗工液の濡れ性や塗膜の密着性が十分に得られない場合がある。
このため、必要に応じてコロナ放電処理などの表面処理を施し、ポリエチレン表面を活性化することで、剥離剤との密着性を高める。
剥離剤とポリエチレンの密着性が不十分な場合には、剥離剤の脱落などの不具合につながることがある。
したがって、剥離紙の品質を確保するためには、ポリエチレン層の目止め性能だけでなく、剥離剤との密着性も重要となる。
■ ポリラミ紙の品質に影響する要因
◆ ポリエチレン層の厚みと均一性
ポリエチレン層の厚みは、防湿性や目止め性能、加工性などに影響する。
一般的に、ポリエチレン層が厚いほど水分や液体の透過を抑えやすくなるが、材料使用量が増加し、柔軟性やカールなどにも影響を及ぼす。
一方、薄すぎる場合には、原紙表面の凹凸を十分に覆えなかったり、ピンホールが発生しやすくなったりすることがある。
剥離紙用途では、目止め性能と加工性、コストなどのバランスを考慮して厚みが設定され、20μm程度のポリエチレン層が用いられることが多い。
◆ ピンホール
ピンホールとは、ポリエチレン層に生じた微細な穴のことである。
ピンホールが存在すると、その部分ではポリエチレン層による目止め効果が失われる。
剥離紙の場合、剥離剤がピンホールを通じて原紙に浸透し、剥離性能のばらつきなどにつながる可能性がある。
また、後工程で加熱された際に、原紙中の水分が水蒸気となってピンホールから放出され、塗工層の発泡などの原因となることもある。
このため、剥離紙用のポリラミ紙では、ポリエチレン層の厚みの均一性とともに、ピンホールを抑制することが重要となる。
◆ 原紙とポリエチレンの密着性
ポリエチレン層は、原紙に十分な強度で密着している必要がある。
密着性が不十分な場合、加工時や使用時に原紙とポリエチレン層が剥がれる層間剥離(デラミネーション)が生じることがある。
原紙とポリエチレンの密着性は、原紙の表面状態、ポリエチレンの種類、押出温度、冷却条件、表面処理など、複数の要因によって左右される。
このため、押出ラミネート工程では、ポリエチレン層を均一に形成するだけでなく、原紙との十分な密着強度を確保することが重要となる。
◆ 耐熱性
ポリエチレンは熱可塑性樹脂であり、温度が上昇すると軟化し、融点に達すると溶融する。
そのため、ポリラミ紙の耐熱性は、使用するポリエチレンの種類や厚み、原紙との密着状態などに影響される。
特に剥離紙では、剥離剤の硬化工程や客先での加工工程において加熱される場合があるため、ポリエチレン目止層の耐熱性を考慮する必要がある。
高温で使用すると、ポリエチレン層の軟化や変形、発泡などが生じる可能性がある。
このため、高い耐熱性が要求される用途では、ポリエチレン以外の目止材や、目止め性能を持つ特殊な原紙を採用する場合もある。
■ まとめ
ポリラミ紙は、紙の強度や加工性と、ポリエチレンの耐水性、防湿性、ヒートシール性などを組み合わせた機能性材料である。
一般的な包装用途では、防水・防湿性能を付与するために使用されることが多い。
一方、剥離紙用途では、ポリエチレン層が剥離剤の原紙への浸透を防ぐ目止層として重要な役割を果たしている。
さらに、ポリエチレン層の厚みや均一性、原紙との密着性、剥離剤との密着性などは、剥離紙の品質や性能に大きく影響する。
このように、ポリラミ紙は単に紙の表面を樹脂で覆った材料ではなく、用途に応じてさまざまな機能を付与するために設計された積層材料である。

について詳しく解説しています。片面剥離紙、背面ラミ付片面剝離紙、両面剝離紙がございます。
