■ 表面活性化処理~基材(原紙)側~
剥離紙製造工程において、原紙とPEを押出ラミネートする際、それらの密着性を向上させるため、原紙表面を表面活性化処理する
原紙の表面活性化処理には、コロナ処理、(大気圧)プラズマ処理、フレーム(火炎)処理などがあるが、費用対効果の観点から、コロナ処理が一般的である
表面活性化処理することによって、原紙表面に官能基が導入されPEとの密着の起点となる
コロナ処理およびフレーム処理においては表面が酸化され、プラズマ処理においては導入する気体の種類により表面修飾される官能基は異なる
さらに、原紙の表面近傍の構成成分であるセルロースのOH基が、表面活性化処理によって表面に向き、密着性が向上するともいわれている
また、原紙表面の毛羽が表面活性化処理で除去されることでも密着性が向上する
なお、処理時にオゾンが発生するため、排気設備の運転が必須である
また、基材が紙ではなくフィルムの場合は、インラインでフィルム表面にアンカーコート(AC)剤を塗布することでPEとの密着性を向上させることが一般的である
◆ コロナ処理
コロナ処理は、基材(原紙)表面にコロナ放電処理を掛けることによって、濡れ性や接着性を向上させるものである。コロナ放電処理によって、空気中の酸素がプラズマ化され、基材表面を活性化(酸化)させる
コロナ処理機は、高周波電源(トランス)と電極ステーションおよび制御装置から構成される
高周波電源からの出力が大きいほど、表面活性化処理は進むが、過剰にかけすぎてもサチュレートしたり放電が安定しにくいため、必要十分な出力で使われる
電極には、バータイプやロールタイプがあり、基材の種類等によって使い分けられる
単位面積当たりの基材(原紙)への処理強度は、出力と加工速度で決まる
また、基材と電極の距離についても、適正に管理する必要がある
◆ (大気圧)プラズマ処理
一般的に、コロナ処理機と同様の装置を用いて、処理雰囲気中を工業用ガスで満たすものが(大気圧)プラズマ処理と呼ばれている
用いるガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスや不活性ガスに水素、酸素等の反応性ガスを一部添加したものである
コロナ処理よりも、安定した表面処理ができるが、工業用ガスを用いるため、高価な処理となる
◆ フレーム(火炎)処理
フレーム処理は、燃焼ガスと空気(中の酸素)の混合ガスを燃やした炎で基材(原紙)表面をあぶることによって、濡れ性や接着性を向上させるものである
燃焼により、酸素がプラズマ化させて、基材表面を活性化(酸化)させる
フレーム処理器は、制御装置とバーナー処理機から構成される
燃焼ガスとしては、プロパンガスや都市ガスが用いられる(一般的には、プロパン:空気=1:25程度の混合比である)
単位面積当たりの基材(原紙)への処理強度は、加工速度、バーナーと基材間の距離、出力、混合比率によって決まる
■ 表面活性化処理~溶融PE側~
押出されるPEの温度は、300℃超であり、原紙と圧着されるまでのわずかな距離(エアギャップ)を通過する際に表面が酸化され、原紙との密着性が向上するが、さらに酸化を促進するために溶融PE表面をオゾン処理することもある
オゾン処理によって、さらなる密着性の向上や加工温度を低下(=ポリ臭低減)させることができる
オゾン処理機は、オゾン発生装置とオゾン吹付けバーから構成される
吹付けバーは、ステンレス管に長さ方向に小孔を空けたもので、小孔から出たオゾンを溶融PE表面に直接吹き付けることで、表面酸化を促進させる
また、ニップ直前に溶融PEと接する側の基材(原紙)上に吹付けオゾンを随伴させることでも、溶融PEの酸化促進ができる
なお、高濃度のオゾンは人体への危険性があるため、除害設備を設置する等の対策が必須である