■ 概要
押出ラミネーターは、基材(原紙)と薄膜(カーテン)状の溶融樹脂(プラスチック)を積層(ラミネート)する装置である
押出機、Tダイ、ニップ部から構成される
◆ 押出機
用いる樹脂としては、用途によりさまざまであるが、剥離紙の目止材用途としては、ポリエチレン(PE)が用いられる
押出機は、ホッパー部より供給されたペレット状の樹脂をシリンダー部のヒーターで加熱しながら、スクリューにて前方に押出すことで、加熱熔融・混錬する装置である
樹脂は、ヒーターからの加熱に加えて、スクリュー部での混練によるせん断発熱により、ポリエチレンの場合は、300℃超まで温度が上昇する
混錬された樹脂は、アダプタを介して、Tダイに送られる
なお、ポリエチレンの場合、一般的に単軸の押出機が用いられる
◆ Tダイ
Tダイとは、押出機より送られてきた溶融樹脂を幅方向に均一に広げ、薄膜状の形態に変形させる装置である
押出ラミネーターに取り付けられるものは、幅の調整が必要であるので、ディッケルおよびロッドピンが備え付けられている
ディッケルは、装置(メーカー)によるが、2段(以上)に分かれているのが一般的である。これらの位置関係や最下段ディッケルの下部の形状(径の大きさ等)を変更することで、押出される端部の形状をコントロールできる
端部の形状は、使用する樹脂の種類・加工条件により変わるため、個別に設定する必要がある
ロッドピンは、製品幅の位置合わせに用いられる
Tダイから押し出された溶融樹脂は、ニップ部で基材と圧着貼合されるまでの間の外気に晒される距離をエアーギャップ(AG)という
エアーギャップ部を通過する際に、空気中の酸素と接することで、表面が酸化され、基材との密着性が発現する
また、エアギャップ部で端部が徐々に中央に寄り、製品幅が狭くなる現象が起こる
これは、ネックインといわれるもので、樹脂の溶融弾性が影響しており、スウェルレシオ(SR)の大きいものほどネックインは小さい
したがって、エアギャップが大きいほど、樹脂と基材との密着性には有利であるが、ネックインは大きくなる(ただし、極端にエアギャップが大きいと樹脂温度が低下し、密着性に悪影響となる)
◆ ニップ部
ニップ部にて、Tダイよりカーテン状に押出された溶融樹脂は、2本のロールで、繰出されてきた基材(原紙)と圧着貼合される
溶融樹脂は金属製の冷却ロール側、基材はゴム製圧胴(ニップ)ロール側となる
溶融樹脂がポリエチレンの場合、300℃超の高温から、冷却ロールにて一気に冷却される(冷却ロールの温度は20℃前後である)
冷却ロールの温度が高いと、溶融PEが冷却ロールに付着してしまうことがあり、一方高温多湿環境下では冷却ロールの温度を下げすぎると結露することがある
冷却ロールの表面粗さによって、製品の表面平滑性も変わる。一般的には、冷却ロールは表面粗度の平滑な順に、ミラーロールーセミマット(セミミラー)ロールーマットロールの3種程度(以上)備えて、多様な構成の製品に対応する(ただし、表面粗さの程度による、ミラー/マットの定義はない)
圧胴ロールは、ゴム製が一般的で、適度な面圧で押付ける
面圧が低いと基材と樹脂の密着が十分でなくデラミネーションの可能性があり、一方高すぎると製品にシワが入りやすくなる
また、ゴムの硬度が高い方が、押付けが強くなる
Fig. 押出ラミネーター(模式図)
Fig. Tダイ内部の構造と溶融PEの流動(模式図)
Fig. Tダイ部~ニップ部
Fig. 押出ラミネータ(側面図)