■ 剥離紙とは?
剥離紙は、英語でRelease Paper(リリースペーパー)もしくはRelease Liner(リリースライナー)と呼ばれ、紙の表面に剥離加工したものである
剥離紙は、主に粘着性もしくは接着性シートやテープの粘着もしくは接着表面の保護に用いられる
同意語・類義語: 剥離ライナー/剥離シート/離型紙/離形紙/剥がし紙/シリコーンライナー/裏紙/台紙
なお、フィルムの表面に剥離加工したものは、剥離フィルムもしくは離形フィルムと呼ばれ、基材にはPETフィルムが用いられることが多い
剥離紙、剥離フィルムを合わせて、セパレータとも総称される
■ 剥離紙の層構成
剥離紙の基本的な積層構成は、原紙/目止剤/剥離剤の3層構成(=SLタイプ) である
紙はパルプ繊維の網目状集合体であり、溶剤系剥離剤は、溶剤に剥離剤成分を溶解 (もしくは分散) させた液体のため、紙に直接剥離剤を塗布すると紙に浸み込んでしまい、剥離性能を十分に発揮できない
そこで、紙 (パルプ繊維) の網目を埋める (=目止) ために、原紙と剥離剤の間に目止層が設けられる
◆ 原紙(基材)
剥離紙の原紙 (基材) としては、上質紙 (剥離紙用)、クラフト紙、クレープ紙、グラシン紙などが用いられ、客先の用途によって使い分けられる
なお、坪量 50~120 g/m2 程度の紙が使用される
◆ 目止材(層)
目止剤 (層) の多くは、性能や価格等の理由からポリエチレン (PE) が用いられる。当社の剥離紙の多くにも目止層として PE を用いている
PE の厚みは 20 μm 程度である
他の例としては、クレーやポリビニルアルコール (PVOHもしくはPVAL) をあらかじめコートした紙が用いられる (SCタイプ)
また、グラシン紙のように紙のパルプ密度を上げて液体を浸み込ませにくくし、目止剤が必要ないものもある (Sタイプ、SBタイプ)
◆ 剥離剤
剥離剤は、剥離性能の要求からシリコーン系剥離剤が多く用いられる
シリコーン系剥離剤の厚みは 0.5 μm 程度 (固形分) である
一方、シリコーン樹脂の主成分であるケイ素が忌避される用途 (=フレキシブルプリント基板等) には、非シリコーン系剥離剤が用いられる
■ 剥離紙の種類
当社の剥離紙は、基本的には客先の要望に応じてオーダーメイドで設計している
◆ 片面剥離紙(SLタイプ)
構成が、剥離剤層/目止剤(PE)層/原紙の剥離紙
片面剥離紙は、片面が紙そのままであり、紙は水分の影響を受けて、吸湿すると伸び、脱湿すると縮む特徴があることから、湿度によりカールがしやすい傾向にある。
◆ 背面ラミ付き片面剥離紙(SLKタイプ)
構成が、剥離剤層/目止剤(PE)層/原紙/防湿(PE)層の剥離紙
片面剥離紙にカール防止の性能を付与するため、片面剥離紙の紙面側にもポリエチレンをラミネートしたものが、背面ラミ付き片面剥離紙(SLKタイプ)である
“K”はカール防止の”カ(CではなくてK)”の頭文字である
SLKタイプは、マーキングシートや壁紙・自動車向け等、要求品質レベルが高く、比較的高価な価格帯の製品である
◆ 両面剥離紙(SLBタイプ)
構成が、剥離剤層/目止剤(PE)層/原紙/目止剤(PE)層/剥離剤層の剥離紙
両面剥離紙(SLBタイプ)は、基材原紙の両面にPEをラミネートし、両面にさらに剥離剤をコーティングしたものである
“B”は英語で両方を意味する”Both”の頭文字である
主として両面テープに用いられ、両面で剥離性能に差を持たせるなど、客先の要望に応じた剥離紙を設計し、対応している
当社製品は、このSLBタイプに特徴を持たせ、主力製品と位置づけ製造・販売している
剥離剤については、客先で用いられる粘着剤等に最適な剥離剤を選定し、両面で常に剥離差を保つように設計される
剥離剤の種類によって、粘着テープ等をはがす速度(剥離速度)が変わることで剥離荷重が逆転することがある(泣き別れ現象の原因)
すなわち、左の図のように剥離剤AとBを比較すると、低剥離速度領域で剥離荷重はBの方がAよりも重いのに対して、高剥離速度領域では逆転しAの方がBよりも重くなるような場合がある
このような場合、剥離紙の片面に剥離剤A、もう片面に剥離剤Bを用いてしまうと、両面テープを繰り出す際、剥離紙のどちらの面にテープがついて剥がれるかが剥離速度によって異なることとなる
そこで、当社では客先で使用する粘着剤に最適の剥離剤を選定し、想定される剥離速度領域で常に剥離差がつくように設計している
◆ その他
原紙(基材)がコート紙(SLCタイプ)やアルミ箔(SLAタイプ)、剥離剤/原紙/防湿(PE)層構成のSLDタイプ等の多様な品ぞろえがある