■ 概要
剥離紙の基材(原紙)としては、上質紙(剥離紙用)、クラフト紙、クルパック紙、クレープ紙、グラシン紙などが用いられる
その他、目止剤としてポリエチレンを用いず各種目止剤が事前に紙にコートされた基材(コート紙)や紙と金属箔がラミネートされた基材等特殊なものもある
これらは、客先の用途によって使い分けられる。なお、坪量50~120g/m2程度の紙が使用される
◆ 上質紙(剥離紙用)
化学パルプだけで製造した紙。印刷や筆記用として使用される
(JISP0001-1998 紙・板紙及びパルプ用語)
代表的な印刷用紙品種として,書籍・教科書・ポスター・商業印刷などに広く使用される
印刷用紙A (白色度75%程度以上の非塗工印刷用紙) が挙げられる
参考URL: 日本印刷産業連合会
◆ クラフト紙
クラフトパルプを原料にした強度の大きい紙の総称
両晒クラフト紙、筋入クラフト紙、片つやクラフト紙などがある
(JISP0001-1998 紙・板紙及びパルプ用語)
◆ クルパック紙
クルパック紙とはクラフト紙の一種で、クラフト伸張紙とも呼ばれる
機械メーカーであるクルパック社(米国)の社名に由来し、その名称が普及したもので、米国ウェスト・バージニア・パルプ・アンド・ペーパー社が開発した紙のこと
抄紙機ドライヤーの一部にクルパック装置を設置し、紙匹(湿紙)を弾性ゴム製ブランケットと加熱ドライヤーの間でニップする際、ブランケットの収縮によって紙匹を収縮させ、縦方向の破断伸びが高められ作られる
また、クルパック装置入り側のスピードと、出側のスピードの比率と、ニップ圧によってクラフト紙の横方向の破断伸びを調整することもできる
なお、できた縮みは後工程で伸びないように乾燥・固定させる
特に縦方向の伸びが大きくて紙の破断時の仕事量が大きくなるので、主として米麦袋、セメント袋などの重包装用クラフト紙として用いられる
参考URL: 株式会社吉田印刷所
◆ クレープ紙
クレープ紙とは、湿紙の状態でプレスロール又はヤンキードライヤーなどの上で、ドクターを用いてシワを付けた紙の総称
包装紙、トイレットペーパー、化粧紙などに用いられる
(JISP0001-1998 紙・板紙及びパルプ用語)
当社では、粘着剤層に厚みのあるテープなどの剥離紙用として使用している
◆ グラシン紙
グラシン紙とは、化学パルプをどろどろになるまで機械で処理(叩解(こうかい)という)し、抄紙後にスーパーカレンダー処理で熱と圧力をかけて繊維と繊維の隙間をなくすまで潰し、平滑度と密度を高めることで半透明にした薄葉紙のこと
仕上がりがすりガラスに似ているのでグラシン(glassine)と呼ばれている。
参考URL: 株式会社吉田印刷所
叩解が進んでいるため、パルプ繊維長が短く、密度が高いことで寸法安定性に劣る
グラシン紙を原紙として剥離紙に用いる場合、平滑度・密度が高く、剥離剤は浸透しにくいが、当社使用のグラシン紙は目止剤としてPVAが塗工されている
◆ コート紙
コート紙とは、上質紙などの表面に、カオリンや炭酸カルシウムなどの顔料と澱粉やラテックスなどのバインダーを塗工したものである
剥離紙用として使用する場合、コート層が目止め層となるため、ポリエチレンをラミネートする必要がない
種類 | 特徴 |
---|---|
上質紙(剥離紙用) | 高強度(引張・引裂・層間) 寸法安定性 |
クラフト紙 | 引裂強度に優れる |
クルパック紙 | 引裂強度に優れる 縦方向の伸び |
クレープ紙 | 縦方向の伸び大 |
グラシン紙 | 高平滑 耐熱性に優れる |
コート紙 | 耐熱性 寸法安定性 |