シリコーン系剥離剤を用いた剥離紙では、剥離強度は貼り合わせ直後の値で固定されるものではなく、保管中の時間経過に伴って変化する。一般には、経時によって剥離強度が低くなる方向に変化することが多い。
そのため、剥離紙の評価では初期の剥離強度だけを見るのではなく、一定期間保管後にどの程度変化するかまで確認することが重要となる。
■なぜ経時で剥離強度が低くなるのか
付加反応型シリコーン剥離剤は、主剤中のSi-CH=CH基と、架橋剤中のSi-H基との反応によって硬化する。このとき、剥離剤中に未反応の架橋剤が残留していると、残留Si-H基が保管中にも主剤中のSi-CH=CH基と反応を続ける。
その結果、剥離層の状態が時間とともに変化し、剥離強度は経時で低下する。すなわち、剥離強度の経時変化は、剥離剤の硬化反応が塗工直後に完全に終わるとは限らず、保管中にもなお進行しうることに起因する現象である。
■経時変化に影響する要因
剥離強度の経時変化の大きさは、単に時間だけで決まるものではない。残留Si-H基の量、主剤と架橋剤の配合比、触媒量、硬化温度、硬化時間などによって変化の程度は異なる。
硬化が不十分で未反応成分が多い場合には、保管中の後反応が大きくなりやすく、剥離強度の低下も大きくなりやすい。逆に、十分に硬化が進み、残留反応基が少ない系では、経時変化は小さくなりやすい。
■実務上どのような点に注意すべきか
初期剥離強度が適正であっても、保管後に剥離が軽くなりすぎると、加工時のテンションバランスや作業性に影響することがある。特に軽剥離設計の製品では、経時によるさらなる低下が問題となる場合がある。
また、同じ剥離紙でも、相手となる粘着剤の種類によって剥離強度の絶対値や変化の出方は異なる。そのため、剥離紙の評価は剥離紙単独ではなく、実際に組み合わせる粘着剤との系で確認することが重要である。
■評価の考え方
剥離強度の経時変化を評価する際には、初期値のみで判断してはならない。貼り合わせ直後の剥離強度と、一定期間保管後の剥離強度とを同一条件で比較し、その変化量を確認する必要がある。
評価にあたっては、剥離角度、剥離速度、測定温湿度、保管条件、使用する粘着剤を統一することが重要である。条件が異なると、経時変化そのものではなく、測定条件差を見てしまうおそれがある。
■まとめ
シリコーン系剥離剤を用いた剥離紙では、剥離剤中に残留した未反応の架橋剤由来Si-H基が、主剤中のSi-CH=CH基と保管中にも反応を続けることにより、剥離強度が経時で低下することがある。
したがって、剥離紙の品質評価では、初期剥離強度だけでなく、経時後にどこまで剥離強度が低下するかまで含めて確認し、実使用条件の中で適正な範囲に収まるよう設計・管理することが重要である。


