■ ラミネートとは
異種の材料を積層することで、各々の材料の長所を生かし、短所を補うことにより、トータルで機能性・意匠性に富んだ製品を作る手法である
◆ (例1) お茶包装用袋
お茶包装用袋は、紙/アルミ/(延伸ナイロン)/ポリエチレンという積層構成である。
要求される材料特性は、バリア性、意匠性、強度、ヒートシール性であるが、単一の材料でこれらすべてを満たすものはない
- 紙は、意匠性に富むものの、他物性に劣る
- アルミ箔は、バリア性があるものの、他物性に劣る
- ナイロンは、強度があるが、他物性に劣る
- ポリエチレンは、ヒートシール性はあるが、他物性に劣る
これらを積層することですべての材料特性を満たすことが可能となる
◆ (例2) 剥離紙
剥離紙は、紙/ポリエチレン/剥離剤という積層構成である。要求される材料特性は、剥離性、(剥離剤の)目止性、強度、良カール性等があるが、例1と同じく単一の材料でこれらすべてを満たすものはない
- 紙は、強度と表面平滑性に富むものの、剥離剤を直接コートすると浸透してしまう
- ポリエチレンは、剥離剤を紙に浸透させない効果がある
- 紙は外気に触れると吸湿し、伸びてカールすることがあるが、ポリエチレンを紙の両面にラミネートすることで、剥離紙がカールすることを防げる
- 剥離剤は、剥離性能を発現するのに必須である
- ポリエチレンは、ヒートシール性はあるが、他物性に劣る
これらを積層することで、すべての材料特性を満たすことが可能となる
◆ その他
かつお節パックの例ではバリア性とヒートシール性の両立、牛乳パックでは紙だけではできない防水性とシール性をポリエチレンが担っている
<略語>
- AL: アルミ(箔)
- ONy: 延伸ナイロン(フィルム)
- OPP: 延伸ポリプロピレンフィルム
- CPP: 無延伸ポリプロピレンフィルム
- EVOH: エチレン-ビニルアルコール共重合体
■ ラミネート法の種類
積層体を製造する方法には、以下の5種類に大別できる
これらのうち、フィルムの積層には、押出ラミネートおよびドライラミネートが多く用いられている
◆ 押出ラミネート
押出ラミネートは、Tダイより押出されたフィルム状の溶融樹脂と基材(ウェブ)を貼合・圧着し、積層する方法である
基材表面にアンカーコート(AC)剤を塗布したり、表面処理することで密着強度を補償する。
ドライラミネート法と比較して大量生産に向くラミネート法である
剥離紙をはじめとして、紙と樹脂(主にポリエチレン)との積層については、押出ラミネート法が用いられている
基材が紙の場合AC剤は、紙に浸み込んでしまうため不適であり、代わって表面活性化処理(コロナ処理、フレーム処理等)が施される
◆ ドライラミネート
ドライラミネートは、片方のフィルムに接着剤をコート後加熱、溶剤を揮発させた後に、別のフィルムと圧着して積層する方法である
◆ ウェットラミネート
ウェットラミネートは、アルミ箔と紙との貼合、例えばガムやたばこの包装材に用いられている。接着剤は一般的に水系である
これらは、アルミ箔に接着剤を塗った後に紙と貼合し、その後乾燥させてつくられる
◆ ホットメルトラミネート
ホットメルトラミネートは、接着剤を加熱することで適度な粘度とした後に片方の基材に塗布し、もう一方と貼合する
乾燥工程の必要がないので設備が比較的簡単である。耐熱性がなく、強度も低い等の欠点もあるが、ヨーグルトのアルミ蓋材(イージーピール)などに用いられる
◆ サーマルラミネート
サーマルラミネートは、OPP(延伸ポリプロピレン)フィルムおよびCPP(無延伸ポリプロピレン)フィルムを積層する場合など、同種の樹脂の場合のみ熱による圧着で接着が可能である
■表面活性化処理
押出ラミネート加工において、ポリエチレンは、構造上無極性であり、基材との密着性が悪い
そこで、基材もしくは溶融PEの表面に各種の処理を施すことで、密着性を改良することができる
◆ コロナ処理
基材表面をコロナ放電照射する処理方法。基材表面に官能基を生成(酸化)させたり、基材の最表面の官能基を活性化させたり、また物理的に表面を粗らすことによってアンカー効果によりPEとの密着性を向上させる
◆ プラズマ処理
コロナ処理の際に、各種気体を導入することで、特定の官能基を基材表面に化学修飾させる方法である
◆ フレーム処理
基材表面を炎(フレーム)であぶる処理方法。炎により空気中の酸素をプラズマ化させることで、基材表面に官能基を付与(酸化)させ、PEとの密着性を向上させる
◆ オゾン処理
溶融PE表面にオゾンを吹き付ける処理方法
溶融PE表面を酸化させることにより、基材との密着性を向上させる