紙とポリエチレン(PE)を押出ラミネート法にてラミネートする際の密着強度を決める因子についてまとめる。
◆ 物理的要因
物理的要因とは基材への食い込みを指す。
物理的要因としては、以下の3点が挙げられる。
 ①樹脂の溶融粘度を下げること
  ・MFRの高いPEを用いる
  ・加工温度を上げる
 ②基材の表面粗度を上げること
  ・基材自体の表面粗度の大きいものを用いる
  ・コロナ処理やフレーム処理など表面処理する
 ③伸長粘度の歪硬化度を下げること
  ・分岐や超広分子量成分が少ないPEを用いる
※伸長粘度の歪硬化度とは…
すなわち、溶融したPEは多かれ少なかれ、伸長時に歪硬化が起こり粘度が上昇する。その硬化の割合が大きい(より硬化する)と紙の繊維中に入り込みにくくなることから、接着強度が劣ることとなる。
伸長粘度の歪硬化度はオートクレーブ(ベッセル/槽型)品よりもチューブラ(管型)品の方が小さいことから、この観点からはチューブラ品の方が接着強度が強くなると考えられる。
◆ 化学的要因
化学的要因とは接合界面の化学的結合力を指す。
化学的要因としては、以下の3点が挙げられる。
 ①PE溶融膜の表面酸化度を上げる
  ・極性基を持った樹脂を(少量)ブレンドする
  ・エアーギャップを広げる
  ・溶融膜にオゾンを吹き付ける(加工温度を300℃程度まで下げられるとされている)
  ・加工速度を下げる
 ②基材の表面活性を上げる(表面処理)
  ・コロナ処理
  ・フレーム処理
 ③結合を完結させる
  ・必要十分なエージングを行う
※エージングの最適条件については、フィルム基材の場合AC剤の硬化、剥離紙の場合剥離強度との兼ね合いがあるので、合わせて考える必要がある。



