■ シリコーンとシリコンとシリカ
「シリコーン(Silicone)」「シリコン(Silicon)」「シリカ(Silica)」は、 日本語では発音が似ているため混同されやすい用語である。 しかしながら、化学的には全く異なる物質であり、 性質・用途・材料設計上の役割は大きく異なる。
本ページでは、剥離紙・剥離剤・表面材料の基礎理解のため、 それぞれの特徴を材料化学の観点から整理する。
■ シリコン(Silicon)とは
シリコンは、元素記号 Si を持つ「化学元素:ケイ素」であり、 周期表の原子番号14に属する半金属元素である。 地殻中に多く存在し、主として鉱物の状態で産出する。
◆ 主な特徴
- 結晶構造を持つ固体材料
- 機械的に硬く、化学的に安定
- 半導体特性を有し、電子材料の基幹元素
◆ 代表的な用途
- 半導体デバイス
- 太陽電池
- 電子部品・基板材料
■ シリカ(Silica)とは
シリカは「酸化ケイ素(SiO₂)」からなる化合物であり、 自然界では砂・石英(クォーツ)として広く存在する。
◆ 主な特徴
- 化学的・熱的に安定
- ガラス・セラミックスの主成分
- 粉体化すると機能性添加剤として利用可能
◆ 代表的な形態・用途
- シリカゲル(吸湿剤)
- フュームドシリカ(増粘・チキソ性付与)
- 流動性改善剤・充填材
■ シリコーン(Silicone)とは
シリコーンは「有機ケイ素高分子(ポリシロキサン)」の総称であり、 主骨格は Si–O–Si 結合が連なる構造を持つ。 側鎖に有機基(主にメチル基)が結合することで、 多様な物性を発現する合成ポリマーである。
◆ 主な特徴
- 柔軟性・耐熱性・耐候性に優れる
- 低表面エネルギーを持つ
- 液体〜ゲル〜ゴム〜樹脂まで多様な形態
◆ 代表的な用途
- シール材・接着剤
- 潤滑剤・剥離(離型)剤
- 医療材料・家庭用品
剥離紙分野では、シリコーン樹脂を用いた 剥離コーティング(剥離層) が最も一般的な材料であり、 粘着テープや粘着剤との界面において 適切な剥離性を付与する役割を担う。
■ 3つの違いの整理
| 項目 | シリコン(Silicon) | シリカ(Silica) | シリコーン(Silicone) |
|---|---|---|---|
| 分類 | 化学元素(Si) | 無機化合物(SiO₂) | 有機ケイ素高分子 |
| 形態 | 結晶固体 | 粉体・結晶・ガラス | 液体〜ゴム〜樹脂 |
| 主用途 | 半導体・電子材料 | ガラス・吸湿剤・機能性粉体 | 剥離剤・シール材・離型用途 |
| 剥離紙との関係 | 主要な剥離コーティング材 |
■ まとめ
- シリコン:元素そのもの。主に電子材料分野で重要
- シリカ:酸化ケイ素化合物。ガラス・粉体機能材として利用
- シリコーン:有機ケイ素ポリマー。剥離紙の主要剥離剤
名称は似ているが、化学構造・性質・用途は大きく異なる。 特に剥離紙設計においては、 シリコーンの分子構造と表面エネルギー特性の理解が重要である。


