◆ 生産工程
■ 繰出し
繰出し装置(アンワインダー)に原紙をセットする。
セットする原紙は、長さ2,000m~10,000m程度、幅:900mm~1,600mm程度、坪量:40~150kg/m²程度である。
■ 表面活性化処理
原紙とPEの密着性を向上させるため、原紙表面を表面活性化処理する。原紙の表面活性化処理には、コロナ処理、フレーム(火炎)処理、プラズマ処理などがあるが、コロナ処理が最も一般的である。
表面活性化処理することによって、原紙表面に官能基が導入されPEとの密着の起点となる。
また、原紙表面の毛羽が表面活性化処理で除去されることでも密着性が向上する。さらに、原紙の構成成分であるセルロースの表面近傍のOH基が、表面活性化処理によって表面に向き、水素結合密度が上がるため密着性が向上するともいわれている。
コロナ処理およびフレーム処理においては、原紙表面が酸化される。
プラズマ処理においては、導入する気体の種類により表面修飾される官能基は異なる。
■ PEラミネート
原紙と押出ラミネーターより押出されたカーテン状の薄いPE溶融膜を金属製冷却ロールとゴム製ニップ(圧胴)ロールで圧着させることでラミネートする。
PE表面の平滑性は、冷却ロールの表面粗度によってコントロールできる。一般的に、平滑な順に、ミラー→セミマット(もしくはセミミラー)→マットと呼ばれるが、表面粗さ等による明確な分類はない。
PEの厚みは、10μm~30μm程度である。押出されるPEの温度は、300℃超であり、原紙と圧着されるまでのわずかな距離(エアギャップ)を通過する際に空気中の酸素と触れることで表面が酸化され、原紙との密着性が向上する。さらに酸化を促進するために溶融PE表面をオゾン処理することもある。
■ 剥離剤(シリコーン)コート
PE表面上に溶剤型やエマルジョン型の剥離剤をコートする場合は、グラビアロールによる方法が一般的である。コートする量は、剥離剤濃度やグラビアロールのメッシュ形状、サイズおよびその深さによって決まる。
溶剤型剥離剤は、白金触媒が用いられるが、水やイオウ成分等は少量でも触媒毒となり反応が阻害されるので、コンタミは禁物である。
剥離剤が無溶剤型の場合は、剥離剤自体が粘稠(高粘度)なため、コートにはカレンダーロールが用いられる。厚み精度向上のため、多段のカレンダーロールが好ましい。
■ 硬化反応
剥離剤を硬化させるためにオーブンにて加熱する。溶剤型やエマルジョン型の剥離剤は、加熱により、まず溶媒(有機溶剤や水)を揮発させ、さらに加熱することでシリコーンの分子間が架橋し、硬化する。
無溶剤型剥離剤のうちUV硬化型のものは、UV照射によりシリコーンが硬化する。
■ 欠点検知
インラインで欠点検知器にて異物等を検知する。剥離紙は、不透明のため反射式の欠点検知器が用いられる。平面の異物検知に加え、検知器の種類や設定(測定条件・検出器と照明の位置関係等)によっては、凹凸のある異物や剥離剤の塗工不良部の検知も可能である。
検知される異物としては、原料起因(原紙に含まれる樹皮やピッチ、PE中に含まれるフィッシュアイ等)や加工中に発生するもの(押出機中で発生するPE滞留炭化物や生産ラインで入るシワ等)などさまざまである。原紙の種類によっては、異物ではなく紙の地合いを検知することがあるので、適切な条件設定が必要である。
検知した欠点は記録しておき、仕上げ時に製品毎の仕様に基づき、除去するかどうかを判断する。
■ PE厚み測定
PEの厚みを幅方向にトラバースしながらインラインで測定する。測定原理としては、赤外線よるものやベータ線を用いるものがある。
幅方向の厚みプロファイルが得られるため、この情報を押出ラミネーターにフィードバックすることによって、押出機のリップギャップを逐次調整することで均一な厚みを得ることができるTダイも市販されている。
なお、剥離紙全体の厚みに偏肉(幅方向に部分的に厚かったり薄かったりする)があると、ケージバンド(ホネ)やタルミ不良となる。
■ 巻取り
加工した剥離紙を巻取り機(ワインダー)にて巻取り半製品(ジャンボロール)とする。
特に両面剥離紙を巻取る場合、滑りやすいので、適切な張力やテーパー設定する必要がある。設定が適切でないと、スターデフェクト(菊模様・巻き巣)やテレスコープ(タケノコ・巻ズレ)の不良となる。
■ エージング(養生)
原紙とPEの密着強度を向上させることおよび剥離荷重を安定化させることを目的に40~50℃で数日間エージングする。
エージング後、ジャンボロールは、客先からの注文があるまで倉庫にて一時保管される。
◆ 仕上げ工程
■ 繰出し
保管中のジャンボロールを仕上(スリッター)機の繰出し部に設置する。
■ 検品・欠点除去
製品の仕様と生産時の欠点情報を元にして、除去すべき欠点かどうかを目視にて判断する。
除去すべきと判断した欠点については、継台にて欠点部を除去後、継仕様に応じ前後を繋ぐ。
■ スリット・仕上げ
両サイドをスリット除去し、最終製品に仕上げる。
■ 包装
最終製品を仕様の包装形態で包装する。
■ 梱包・出荷
所定の方法で梱包(パレット積み・箱詰め・そのまま転がし等)後、出荷する。